「美」がもたらす異常な欲望を刮目せよーネオンデーモン

「美」というテーマの持つ際限のない欲望をどうしたら表現できるのか。そんな挑戦に試みた映画だった。公式サイトはこちら

映画ネオンデーモンはモデルに憧れて上京してきた16歳の少女ジェシーが類稀なる「美」によって想像もしない世界に巻き込まれていくストーリー。

『プラダを着た悪魔』もタイトルに悪魔がいるが、この業界の話を描くときには悪魔的で取り憑かれている姿がもっとも映画的なのだろうか…

ジェシーが巻き込まれた世界は美しさだけが基準。自分を武器に戦う場所。

田舎から出てきたばかりのジェシーを気にかけるメイク業のルビー。ジェシーの美しさを理解しながら認めようとしないジジ、多くの存在が彼女を大きく変えていく。

トレイラーを見たときには、主人公の子が少しづつ業界の酸いも甘いも知って大人になっていくのかなと思いつつ、嫌な予感はしていた。最後にジェシーが一言だけ”デンジャラス”と残して終わっていたから。

観覧後、案の定というか、トレイラーからは受け取れない多くの「異常な欲望」がそこにはあった。

2時間の映画だが、出演者は極めて少なく、メインのキャラクターは主人公とそれを取り巻く女性3人、あとはジェシーの人生を変えていく3人の男性。たった7人が織りなすストーリーでありながら、眼の前ではハードな映像が繰り広げられた。

ひとことで言えば、ヤバイ映像だ。人の禁忌とも思える行動が畳み掛けてくる。目を背けたくなる部分も多い。ただ、これが彼女らの抱えている「美への偏重な感情」を表現するには、異常とも思える絵力が必要なのだろう。

きっと、僕は彼女らがどれだけ泣き叫んで、誰かを殴って、怒ったところを観せられていたら、そこから感じる人間的な部分に、どこかで安心していたと思う。ネオンデーモンははるかその上をいく狂気の発露があるからこそ、ハラハラしながらも目が離せなくなっていくんだ。


ちなみに単純な映画の評価という点で言うと、脳内補正をしなければならない部分が多かったり不可解な(不必要な)事件が起きたり、主人公の挙動に納得できない場面もある。そういった描写を捨ててでもキャラクターたちが美のための動くシーンを載せているのだろうか…新しい年に最初のぶっ飛んだ映画をみたい方はぜひ。講演場所がすくないですが…


-TARI FUTA-

たりないふたりがなんとか生きていく記録。

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