引っ越し回顧録③「賃貸がたりない」

立川への引っ越しを決めたものの、次の困難があった。

ここには同棲にちょうど良い部屋がたりない。

そこまで高望みをしたつもりはほとんどない。

2人で住むならリビングの他にあと寝室、作業場があればよかったので、

探していたのは2LDK。あとは彼女の転職を考えて、駅には多少近い場所。

築年数ですら平成に入ってから作られていれば良いかくらいの気持ちだった。

要するにほとんど間取り以上の希望はなかった。

立川は開発が進んでいるというニュースもたくさんあるし、家探しに不安はなかった。

が、そんな楽観は不動産屋に行った30分後、甘さだったと思い知ることになる。

僕たちの希望に沿った場所はたった3部屋しかなかった。

通常、ある程度の要望に沿った部屋を選び出してくれ、そこから候補を絞るそうだが、

僕らの場合、それどころではない。

むしろ3LDKとか2SLDKとか、僕らの望み以上を叶えた部屋も含んでいる始末だ。

実質、僕たちは唯一と言っても良い、2LDKのに決めるか否かという選択肢しかなかった。

時期が悪かったのか、選択がたりない僕たちは運には恵まれたようだった。
ここがだめならと内見した部屋は、まさに希望どおりの場所だった。

決して大きくはないが、購買欲が強くない僕たちには十分なリビング。

その中でも唯一の趣味と言えるマンガを充分におけるだけの部屋は、

作業机を置けば、適度な雑多感を保って、僕たちが自宅業務をするにはもってこいだった。

そして、それらの部屋との干渉を避けられそうな、間取りが小さめの寝室がひとつ。

立地としても僕の会社を徒歩圏内にいれつつ、映画もIKEAも「気軽に」行ける距離にある。

駅も近いとは言い切れないが困るほどの距離では無い。

この部屋を逃すわけにはいかない。

他の部屋も見た方が良いのでは?と言ってもらうが、これ以上、期待が高まることはない。

立川に部屋探しにいくだけでも面倒な僕たちは、その場で部屋探しをやめることにした。
この巡り合わせがいかに奇跡であるか語るため、早く喫茶店に行きたかった。

週1の非日常と週6の日常

この部屋はそれこそ数日前に引っ越しが終わったばかりだったようで、

内見ではクリーニングすら入っていなかった。

前の人は随分長くここに住んでいたこと。このマンションの空きはほとんど出ないこと。

そんなことを不動産屋から聞いた。

ただでさえ「週1の非日常と週6の日常」で後者のために立川を選んだ僕たちは、

部屋でつまずくわけにはいかなかった。前の住人の方には感謝すらお伝えしたい。

やっぱり「たりない」

問題は入居までの時期だった。

前にも書いたが、僕たちは1月に入ってからの引っ越しを考えていた。

部屋を見つけたのは11月。これだけ充実した部屋、入居を何ヶ月も待ってくれない。

12月の半ばには入居体制が整う。

不動産屋の方が交渉をしてくれたものの、待てるのは月末までが限界だった。

想定していた引っ越しから1ヶ月以上、時間的猶予が削られてしまった。

それは単純に12月が繁忙期となる彼女への負荷が重くなることにつながる。

やっぱり、運もたりないかもしれない。

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